2026年2月26日
近年、多くの企業が与信審査やマネロン対策、反社チェックの業務効率化を目指し、生成AIの導入を進めています。
しかし、単にAIを導入しただけでは実務には耐えません。
AIの真価を引き出すには、プロンプト(指示や質問)と呼ばれる「人間側からの的確な指示書」が不可欠です。
この審査に特化した独自の指示書こそが『AI審査プロンプト』です。
プロンプトを通じて、AI(GeminiやChatGPT等)に企業の登記情報や財務データを処理させることで、人間では何時間もかかる複雑なリスク判定を、一瞬かつ高精度で完了させることが可能になります。
素晴らしい効用がある一方で、絶対に知っておくべき「留意点」をお話しします。
多くの人が誤解していますが、AIは万能の神様ではありません。「人間側の聞き方」次第で、致命的なリスクを見逃してしまいます。
例えば、ある企業を審査する時、AIに「●●株式会社は、マネーロンダリングに関与していますか?」 と質問する人がいます。これは、最悪の聞き方(プロンプトの出し方)です。
なぜなら、AIは警察ではありませんし、表のネット情報に「弊社はマネロンしています」なんて証拠は落ちていないからです。AIは「特に不審な情報は見当たりません」と答えて終わってしまいます。
さらに深刻な問題があります。それは、AI判定の「ブラックボックス化」です。
仮にAIがなんとなく「危険です」と判定したとして、審査部がその根拠を詳細に説明できなければ、前線で動く営業など取引申請部門からの信頼を完全に失ってしまいます。
「AIがダメと言っているから取引不可です」という曖昧な回答では、社内は絶対に納得しません。審査部門が丸ごと廃止されてしまうでしょう。
では、どう聞くべきなのか(プロンプトを書くべきなのか)。
「マネロン」という抽象的な言葉を、具体的な「異常値の兆候」にブレークダウン(要素分解)して、客観的な事実としてAIに指示を出すのです。
例えば、 「過去3年以内に、本店を別の法務局の管轄へ移転していないか?」 「役員が交代した直後に、全く無関係な事業目的が大量に追加されていないか?」 「資本金が少ないのに、無借金で都心の不動産を取得するような不自然な動きがないか?」等々。
このように、リスクを具体的な事実の確認に分解して、AIのプロンプトに組み込む。
客観的な事実に基づいたプロンプトを組めば、営業部門に対しても「なぜこの企業が危険なのか」を明確な根拠をもって説明できるようになります。
人間が的確な「物差し」を与えなければ、AIは目の前にあるリスクを素通りしてしまいます。
AIを使いこなせるかどうかは、この「ブレークダウンする能力(プロンプトの精度)」にかかっているのです。