商社の与信管理のキャリアが最良である理由


 事業会社において与信管理・与信審査のキャリアを目指すならば、是非、商社に就職・転職すべきた。

 

 モノを製造しない商社にとって、利益の源泉は「リスク」の負担であり、その最たるものが「与信リスク」である。

 

 与信リスクの負担こそ、商社の存在意義であり、その管理の巧拙が会社の強さを決める。

 

 従って、商社において与信管理は最重要の要である。

 

 口銭収入が主体の従来型商社にとって、売掛債権の焦げ付き(不良債権化)の影響は大きい。

 

 財務的な影響度はもとより、サプライヤー(仕入先)からもリスク管理力について信頼を失いかねず、ソーシング(調達力)にも支障が出る。

 

 よって与信管理は、商社の命運を決める最も重要かつシビアな仕事なのだ。

 

 最近では、総合商社(本体)は、自らは現場の仕事は行わず、専ら事業投資が主体となっている。

 

 この事業投資はリスクマネーの供給でありまさに与信である。事業投資というのは、全体的なサプライチェーンや価値連鎖の創成を目的としている。

 

 そのコーディネーションの中核を担うのがいわゆる「中核事業子会社」だ。例えば、三菱商事〇〇株式会社とか三井物産△△株式会社といわれているような「冠」がつく事業子会社だ。

 

 それら「冠」の事業子会社は、依然として従来型の商社(口銭ビジネス)である。本体が描く事業をリアルに遂行するのが彼らであり、そこでは、やはり通常の与信機能が発揮されているのである。従って、事業子会社のマネジメントを仕事とする「本体」の方々にとっても、一般的な与信管理の素養は必須なのだ。

 

 ともかくも商社の主要機能は与信(商社金融ともいう)だ。

 

 よく物流機能もあげられるがそれならば物流会社との違いは何か?それはやはり各事業領域における専門的な目利き力であり、取引相手や事業投資先を見抜く与信力だ。その有無が、商社と物流会社との決定的な違いだ。

 

 商社の本質はやはり与信機能なのだ。だからこそ商社においては与信管理部門を非常に重視している。

 

 その証拠にキャリア採用において頻繁に求人広告を見かける。ベテランの与信審査パーソンが先々退職するので、その補強といったケースでの求人も多いように聞く。決して減員しないのだ。

 

 従って「プロの与信審査パーソン」を目指す者にとっては、商社の与信管理部門は、もっとも「丁重」に扱われる分野であるし、主要な転職マーケットとなる。

 

 給与水準は、各社によるだろう。総合商社子会社では、30代の非管理職で年収600~700万円台。高給取りの「総合商社本体」の同世代の半分くらいの水準だが、世間的には立派な金額だろう。東証1部の独立系商社であればさらに良い給料も期待できる。そうでなくても年収500万以上で提示している会社が大半である。

 

 従って与信管理のプロとして生き抜くには「商社」は最良のマーケットだと思う。一度、どこかの商社で鍛えられれば、別の商社でも活躍できる。

 

 財閥系統が異なっても、転職を繰り返して幹部まで上りつめたプロを何人か知っている。まさに、職人的な与信審査パーソンとなれば、食い扶持に困らない。

 

 一方で新卒の段階で企業側が与信管理の担当者を採用するケースは稀なように思える。

 

 別の記事で詳述したいと思うが、与信管理は、事業に関する理解や財務会計の知識はもとより、営業部門との高度な折衝や社内での調整業務もある。つまり、「社会人としての経験」が必要となってくる。いわば「総合力」が必要な職種であり、学生がいきなりできる仕事ではない、という認識からだろう。

 

 ただ与信管理を学生にも人気が出る職種とするためには、個人的にはもう少し門戸を開いても良いように思える。

 

 ともかくも、事業会社の与信管理に従事したいなら、一度は、商社の門戸をたたいてみるべきだと思う。

 

 アクティブ株式会社 泉博伸 (最終更新:2020年9月13日)

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