与信管理と債権管理の混同

与信管理が学問化されない理由②


 「与信管理」と「債権管理」を混同してはならない。

 

与信管理とは、その文字が示す通り「与える」という「意思決定」に関するマネジメントだ。

 

一方、債権管理とは「債権」の管理であり、その発生・消滅・残高のマネジメントの話である。

 

どちらが高尚だとか、そんな話ではなく「別物だ」ということだ。

 

 

端的な例を示そう。

 

税金だ。

 

一定の課税要件が満たされれば、国は個々の納税者に対して「国税債権」を持つことになる。

 

ただ、そこに国の「意思決定」は存在しない。

 

要件が満たされれば、相手が誰であろうと、国は法で定まった金額の国税債権を持つ。

 

だから、国において「与信管理」は存在せず、あるのは「(国税)債権管理」の業務のみである。

 

(これが国税債権が破産等において優先される一つの理由である。相手を選べないから優先権を与えられているのである。これを国税の「無選択性」という。)

 

税務署には管理徴収部門という部署があって、そこで個々の納税者に関する「債権管理」を行っているが「与信管理」は決して行っていない。

 

医療機関もそうだ。病気やケガで病院を訪れた患者を選別することは許されない。医療サービスを提供するかどうか、患者を誰にするかに「意思決定」は存在しない。

 

だから医療機関に「与信管理」はなく、あるのは「債権管理」(保険組合への請求等の管理)だけなのだ。

 

このように「与信管理」と「債権管理」は別物なのであるが世間では同義語として扱われてしまっている。

 

これが「与信管理」の学問化への道を遠ざけているように思える。

 

与信管理というのは、「与える」という「意思決定」にフォーカスした学問であるべきであり、それはつまり「経営資源の配分」や「戦略」の問題である。

 

つまり「経済学」の領域なのだ。 

 

「なぜ与信管理はアカデミックに相手にされないのか」でも書いたが、与信管理が社会科学として認知されるための近道は、こうした意思決定を経済学的に理論づけることだと思う。

  

*参考コラム:与信ポジション再考

 

アクティブ株式会社 泉

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