株式を上場するとは、その企業の株式を不特定多数の見知らぬ者に保有されることを容認するということだ。
その見知らぬ者が反社会的勢力やその周辺者である場合もある。
そうした輩に相応の株式割合を保有され経営を乗っ取られてしまえば、やりたい放題にやられてしまう。
社外への不正な資金流出、手形の乱発、債務保証の強要、粉飾や「新事業発表」による株価操作など。
経営を乗っ取っても、まともに事業をする気のない反社会的勢力は、短期間で骨の髄までしゃぶりつくして、その会社を屍にする。
上図は第三者割当増資による乗っ取りの典型パターンだ。
業績不振の上場会社A社は資金繰りに窮し、「藁をもすがる思い」で資金調達に奔走している。
なかなか資金の出し手が見つからない中、悪徳金融ブローカーが近づいてくる。
「資金の出し手を紹介する」と。
「1億円出す。その代わり、役員を入れろ」
反社会的勢力の息のかかった人物が、上場会社Aの役員(経営幹部)に就任する。
業績不振で株価が超低空飛行している中、1億円出せば相当の出資割合を獲得できる。
取締役会での発言力も大きい。
反社の息のかかった役員は「B社に1億円投資したい」と取締役会に付議する。
当然、取締役会は承認せざるを得ない。
その1億円の流出先B社は、資金の出し手である反社関連企業である。
名目上1億円の増資により資本金は増えたが、すぐさま元の反社に資金が還流してしまったのだ。
つまり、実質的に架空増資である。
■ハコ企業の錬金術
①業績不振・株価低迷企業の増資を引き受け
②経営権を牛耳る
③新規事業等を名目に資金を不正に流失させる(=新規事業等のPRにより株価が上がる)
④吊り上がった株価で株式を売り抜ける
⑤流出した資金は回収不能となる(元の資金の出し手に還流する)
このように上場会社を資金獲得の装置として悪用するのが、
反社会的勢力(特殊知能暴力集団、反市場勢力等も含む)である。
反社の資金獲得に使われてしまった企業を「ハコ企業」という。
上場会社ほど、自らを厳しく律しなければならない。
業績不振により、すぐに反社に狙われる。
上場会社の立場に立てば、
反社関与が疑われる先からは、資金調達を絶対にしないことが重要だ。
経営者には、このような強い意思が必要だ。
そして資金の出し手とその背後周辺を徹底的に調べること。
この意思が経営トップ及び組織として脆弱だと反社に浸食されるリスクが高い。
なお、過去には反社会的金融ブローカーの甘い誘いを払いのけた気骨のある経営者もいた。
危機時にはやはり「経営者の素質」がものをいう。
企業存続が危うい上場会社は、
ゴーイングコンサーン注記(GC注記、継続企業の前提注記)がなされる。
GC注記がある上場会社で、コンプライアンスを軽視しているような痕跡、
つまり、業法違反、労働基準法違反、下請法違反、贈収賄、金融関連法違反等が見受けられれば、
かなり警戒しなければならない。
法令遵守やコンプライアンス意識の薄い会社は、反社資金に平気で手を出す可能性が否定できない。
そのような上場会社との取引は回避すべきだ。
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