ネット上のすばらしい論文にほろ酔い ~不法原因所得への課税~


インターネット上には有用かつ無料の情報源が豊富に存在する。

 

 

その中で「税務大学校論叢(ろんそう)」は特にお勧めだ。

 

国税職員の研修所である税務大学校の教授らが

 

執筆した論文がネット上で読むことができる。

 

実務上の最先端で検討されている課題や

 

テーマを知ることができる。

 

ご関心があれば、以下にアクセスし、

 

題名だけ眺めるだけでもご参考になると思われる。

 

■国税庁サイト内 税務大学校論叢

 https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronso.htm

 

 

さて、その中で今回発見したのは

 

1973年3月の税大論叢に収録されている

 

かなり古い論文だが、

 

非常に素晴らしい論文だと思うので、

 

自らの備忘の為に書き留めておく。

 

 

「税法上の所得概念の解釈について -不法原因等による利得の課税をめぐってー」

 

 茂木繁一氏(当時税大教授)

 

 論文URL(PDF)

 https://www.nta.go.jp/about/organization/ntc/kenkyu/ronsou/07/57/ronsou.pdf

 

 

不法原因等による利得、すなわち、

 

窃盗、横領などの違法行為による利得や、無効または取消しうる行為により生じた利得等が

 

税務上の所得なのかどうかが検討されており、

 

それを通じて「所得の概念」について考察を加えられている。

 

 

このテーマの専門家でもない私が内容そのものを論評することはできないが、

 

学説・判例、それに対する著者の所見が分かりやすく整理されており、

 

特に深い知識のない者でも、興味深く読み進めることができる。

 

 

特に、私が驚いたのは、論点をもれなく検討しようとする姿勢である。

 

論文の最後の最後の注釈にて、わざわざ、

 

不法原因の利得について「申告納税義務」を課すことと、

 

憲法上の「不利益な供述の禁止(自己帰罪拒否権)」との関連についてまで触れ、

 

東京高裁の以下の判決を端的に紹介し、言及されていることである。

 

 

「申告納税制度は(中略)、

 

 納税義務者に所得の申告を求めるものではあるが、

 

 その原因たる犯罪行為の告知を求めるものではないから、

 

 該制度が右憲法の規定に違反するものとは解しえない・・・・。

 

 税法に規定する手続きは、もっぱら徴税の目的のためのものであって、

 

 刑事事件の捜査のための手続きではないのであるから、

 

 納税義務者が犯罪行為による所得について、

 

 所得そのものの申告をも

 

 自己の刑事責任上不利益な供述として拒否することは、

 

 公共の福祉に反する自由権の濫用と言わなければならない

 

 

このように豊富な参考情報とともに論点が整理・凝縮されたハイクオリティーな論文を読むと

 

短時間で、自らも深い知識を得たような気分に酔いしれることができる。

 

アクティブ株式会社 泉